絆イメージ ロゴ はじめに
 約11年もの間、シベリアと日本とに引き裂かれながらも、唯一の通信手段であった俘虜用郵便葉書を通じて互いの身を案じ、思いを伝え続けた北田利氏一家にスポットをあてて紹介します。実際にやり取りをした俘虜用郵便葉書や夫の帰りを待つ妻の想いを綴った日誌などから家族の絆の強さと愛情を感じとれる企画展です。
展示資料について

 昨年度からおこなっている収蔵資料のデジタル化作業やユネスコ世界記憶遺産登録へ向けた資料調査により シベリア抑留中の11年間にわたり、日本の家族との通信をおこなった俘虜用郵便葉書や夫の帰国 を待つ家族の様子が克明にわかる大変貴重な資料であることが判明しました。
 本資料は、北田利氏が日本の留守家族にあてた俘虜用郵便、および利氏の妻、はま氏の日誌 (手帳3冊) から成るもので、遠く離れた抑留地と日本との間で互いに家族を思いやる気持ちに満ち溢れている記録です。 はま氏の日誌の記載期間は、1950 (昭和31) 年頃までです。
 妻の日誌には、なかなか利氏の引き揚げが実現しないなかで、留守家族が氏の安否を気遣う様子が、その日常生活 とともに鮮明に描かれている点にあることです。利氏からの葉書が届けられた時の家族3人の喜ぶ様子が、親子の 会話とともに生き生きと描写されています。他方、お互いにやり取りした葉書の全てが届けられたわけではなかったようで、 折角送った葉書の未着を知った時の家族の落胆ぶりや憤りも、臨場感を伴って書かれています。家族愛、夫婦愛の深さと尊さがうかがえる貴重な資料です。